井出さとる
良く聞かれるんです。
「裾野市って財政が厳しい、厳しいって言うけど、本当なの?」
「金持ちほど口では貧乏って言うし〜」
「財政力指数だっけ?県内で1位とか、2位とか新聞で見たことあるんだけど。」
裾野市の財政について、皆さんと一緒に考えたいと思います。
※表現の判りやすさを重視し、「財政調整基金→貯金」とするなど、表現を簡素化して記載しています。
健全な財政運営?
裾野市の財政って、本当のところどうなの?
相談者
井出さとる
裾野市は「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づいて、毎年、健全化判断比率と資金不足比率を公表しています。報告書によれば、実質公債費比率と将来負担比率は、共に早期健全化基準と財政再生基準を大きく下回り、健全な財政運営を行っている、と報告しています。
な〜んだか難しい言葉が多いけど、要は健全な財政運営って事は大丈夫じゃん。
相談者
MEMO
裾野市の財政健全度は、毎年、広報すそので報告されています。貯金の取り崩しはプラス?マイナス?
井出さとる
ところが、裾野市は平成22年度から7年連続で収支バランス(実質単年度収支)が大幅に崩れており、毎年およそ8億円程度の赤字が続いています。その赤字の累積額はおよそ74億円程度で、その穴埋めを貯金の切り崩しでしのいでいます。
MEMO
実質単年度収支とは
1年間の収支バランスを示したもので、貯金を切り崩したり、貯金を積み立てたり、借金をしたり、借金を早めに返したり、といったやりくりの積み上げを示します。
計算式は、単年度収支+積立金+繰上償還金-積立金取崩し額です。
積立や繰上返済は黒字の要素となり、貯金の取崩しは赤字要素となります。
さっきは健全って言ってたのに、貯金を切り崩さなくちゃ、やって行けないっていうことは全然健全じゃないじゃん!
相談者
井出さとる
切り崩せる貯金がある内は、「財産がある」という事ですから、見方によっては健全と見る事もできますが…
貯金の切り崩しが続いている状態は、健全じゃない!
相談者
井出さとる
私もそう思っています。
他市町との比較を見ても、裾野市の収支バランスの悪さが際立っていると考えます。
井出さとる
もう一つ問題だと考えるのが、毎年およそ8億円程度も貯金を切り崩しているにも関わらす、その恩恵を肌身で感じる事が少なく「砂に水が吸い込まれている様に」跡形も残っていないことが課題だと考えます。
収支バランスが悪い理由は?
何でこんなに収支バランスが悪いの?
相談者
井出さとる
1つ目は法人市民税の大幅減収、2つ目は社会保障費用の増加です。つまり「身の丈にあった支出になっていない」という事だと思います。
MEMO
直近で一番法人市民税が多かった平成19年度と、平成28年度の決算比較です。
平成19年度 | 平成28年度 | 差 | |
法人市民税(億円) | 41.3億円 | 16.5億円 | ▲24.8億円(▲60.0%) |
扶助費(億円) | 14.6億円 | 36.3億円 | +21.7億円(+249%) |
身の丈にあった支出って?
何で裾野市の支出は身の丈にあってないのか?
相談者
井出さとる
扶助費の様な義務的な経費は削減できませんので、
1つ目は法人市民税などが大幅増収の時に生んだ付加的市民サービスが肥大化している事や、
2つ目は物件費が類似自治体に対し高い事から、施設の非効率な配置や賃借料が要因と考えられます。
今後の財政見通しは?
それで、今後の裾野市の財政はどうなるの?
相談者
井出さとる
裾野市は財政見通しを毎年公表しています。
それによると、平成28年度末におよそ54億円あった貯金が、平成34年度末までに13億円になる見込みです。
しかし、裾野市は貯金を最低20億円程度は確保したいとも示しているので、財政計画の貯金残高見込みとも整合していないと考えています。
MEMO
裾野市の財政計画は、毎年、ホームページで公開されています。6年間で41億円のマイナスか…。毎年だいたい7億円の赤字…。本当に大丈夫か?
相談者
井出さとる
中期財政計画にも示されている通り、裾野市の法人市民税は、国の税制改正の影響により平成34年度に7.7億円を見込んでいます。
益々厳しくなるじゃん!
相談者
井出さとる
だからこそ、これまでの市民サービスを「あれも、これも」ではなく、「あれか、これか」と選択と集中で財政を集中させる事が、結果的に市民が肌身で恩恵を感じる事ができる様になると考えます。
MEMO
裾野市は平成30年度の当初予算編成方針をホームページで公開しています。